ラッキー★ドッグ

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俺の2つ名である黒猫。髪が黒いからつけられたんじゃないかと思っている。
特に輝かしい功績を叩き出している訳じゃないのだが、気紛れに敵を引っ掻いていくから猫。そんな名前を頂戴したってわけ。

「そりゃ俺だ。………可愛がってにゃーん?」
「カーヴァロ……いや、待てよ?


……可愛がってやる」

「…………は?
いやいや、待って待って!」

嫌そうに顔を歪めたくせに、なんだ手のひらを返したような態度は!
こちらが無駄に焦ってしまった

「お前、女だろ?
セニョールはでろでろに甘やかしてやるのが俺のスタイルだ」
「羊を飢えた狼さんのとこに飼い主が追い出すとでも?」
「ウィ。羊じゃなくて猫ならあり得ると思わないか?」
「…………まいったな」

こんなにすぐバレてしまうなんて予想外すぎだ。
にやにやとこっちを見ているドンに腹がたつ。
くそ、ファック…

「なんで分かったんだ、ライオンさん」
「腰が男にしては細すぎる」
「ひゃあ!」

つつ、と腰骨を撫でられて上ずった声が出た。

「あと、首が細くて喉仏も出てないだろ?」
「あっ……、……な、なにすんだよ!!」

ルキーノの舌が俺の首筋を撫でたものだから、ぞくりと全身の産毛が逆立った。女の扱いになれている大きな手は、セクハラで訴えたら勝てると思う。考える暇も与えないでルキーノの胸の中に引き寄せられた。

「うあっ!……やめ、ろっ」

「可愛い声、出すなよ
こっちは溜まってんだ……」

ふぅっと熱い吐息を耳にかけられて、たまったものじゃない。
身の危険を感じて、蹴りやすい位置にあった股間をひざで蹴ってやった。……うげぇ、すこし起ってやがる。

「ぐっ……」
「一人でファックしてろよ!!
この変態っ!最低っ!」

息子を押さえて悶えているエロライオンを放置して、その場から走り出した。


どーせ大した用事はないのだ。俺をからかおうだなんて、ドン・グレゴレッティは悪質な悪戯がお好きなようで。
自分より地位が高い人間を蹴っ飛ばしたのは、ちょっとヤバいかもしれないがあれは正当防衛だ。
まぁ、部下と上司の関係に正当防衛もなにも無いんだけど……。
俺がいつか幹部になるって言っても、まだ幹部じゃないし、なったとしても向こうのが上だっていうのをわきまえた方がいいな、うん……。

次こんなことがあった、何されても文句は言わない。抗わない、オメルタに誓って。


事情があっても無くても、抵抗をしてはいけないなんてソバカスがまだ無くなっていないションベン垂れ小僧にも分かることだ。
幹部を蹴り飛ばしたのについて、俺はその日、深く深く反省した。




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