箱庭の宴

□番いの小鳥
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ピィピィ、ピィピィ
駒鳥の口笛を吹いた様な鳴き声
上を見てみれば木の枝には鳥の巣
下を見てみればじたばたとする小鳥

『小鳥さんだ、』

小鳥さん小鳥さん、息流が続けて言っても
小鳥はピィピィと声をあげ次第に弱っていく

『可哀想、泣かないで』

泣いちゃ、ダメだよ、悲しいよ
しゃがみこんで息流は小鳥に語りかける
上からピィピィ下からピィピィ
小鳥の声は止まない

『…上の子と、一緒なら、悲しくないね』

思いついた、と手を叩く
息流は近場の木の枝を取ると
上にある鳥の巣を突っつく

『おいで、おいで、二匹仲良く、一緒にしてあげる』

ツンツン、ツンツン、ポトリ
グシャ、上から落ちた鳥の巣は
潰れて見るも無残に壊れてしまった

『いたいた…、ほら、寂しくないよ』

潰れた鳥の巣にいた小鳥は
落ちた衝撃で枝に貫かれて死んでいる
その横に、ピィピィとなく小鳥を添えると
息流は酷く満足そうに微笑んだ。

『仲良しこよし、』

ふんふん、と
上機嫌にその場を去って行こうとした時
くるり、振り返って息流は俺に声をかけた

『雲仙くん、何、してるの?早く行こ、』

「…おう、」

『早くしないと、委員会会議、遅れちゃう』

「、…そうだな」

息流はまた、くるり、
今度こそその場を去っていく
俺もそれについて行き際に
チラリ、小鳥の方を振り返り
そっと目を閉じてから
息流の後を追った



番いの小鳥
(焼き鳥、食べたいね、袖ちゃん、誘って…食べに行こうかな?)
(お前、本当に色気より食い気だな)

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