箱庭の宴

□片想いのラプソディ
1ページ/1ページ




放課後、暁の空
人の声も疎らに
下校していく生徒達
それらを保健室の整備室(とは言っても実質自室の様なものだが)から
窓を眺めつつぼやぼやと懸想を馳せている

『マイナス13組の、女の子、可愛いかった、なぁ…』

新しく箱庭学園に転校してきた面々を思い出し
あの子の名前何だっけ?と記憶を探る

「『僕は』『息流ちゃんも可愛いと思うけれどね』」

ひょっこり、窓から顔を覗かせるのは
学ランに童顔の親友、禊くん
開いていた窓から整備室の中に這入ると
やあ、とにっこり笑って挨拶をした

『禊くん、久しぶり、だね』

「『久しぶり』『元気そうで良かったよ』」

近くにあったベッドに座る禊くんに
お茶を淹れ渡しつつ声をかける

『びっくり、しちゃった、いきなり、転校してきた、から』

「『あれ?』『そっちの話?』『てっきり、リコールの件で何か言われるかと思ったんだけど』」

『リコール、ね。自分は、あまり、興味ないからなぁ…』

「『…ふーん』『応援してくれないんだ』」

『応援、とはちょっと、違うけど…見守っては、いるよ、禊くんの事』

「『まぁ今はその話はいいや!』『とりあえず、これからもよろしくね!』」

『また、一緒の学校で、過ごせて、嬉しいよ』

「『そうだね!』『僕も嬉しいよ!』『息流ちゃんとのドキドキラッキースケベな学園生活を思うと胸のときめきが止まらないなぁ!』」

『あはは、禊くん、変わらないね』

話もそこそこにして
再開の挨拶を交わして
昔話に想いを馳せる
笑顔の彼は昔から変わらなくて
自分の、昔からの想いも
変わらずにいたままだった
そしてこれからもこの関係が
変わる事はないだろう



片想いのラプソディ
(『そうだ!今度の日曜日デートしよう!』『絶対だからね!』)
(2人で、お出掛けするの、久しぶり、だね。楽しみ、だよ)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ