箱庭の宴
□片想いのラプソディ
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放課後、暁の空
人の声も疎らに
下校していく生徒達
それらを保健室の整備室(とは言っても実質自室の様なものだが)から
窓を眺めつつぼやぼやと懸想を馳せている
『マイナス13組の、女の子、可愛いかった、なぁ…』
新しく箱庭学園に転校してきた面々を思い出し
あの子の名前何だっけ?と記憶を探る
「『僕は』『息流ちゃんも可愛いと思うけれどね』」
ひょっこり、窓から顔を覗かせるのは
学ランに童顔の親友、禊くん
開いていた窓から整備室の中に這入ると
やあ、とにっこり笑って挨拶をした
『禊くん、久しぶり、だね』
「『久しぶり』『元気そうで良かったよ』」
近くにあったベッドに座る禊くんに
お茶を淹れ渡しつつ声をかける
『びっくり、しちゃった、いきなり、転校してきた、から』
「『あれ?』『そっちの話?』『てっきり、リコールの件で何か言われるかと思ったんだけど』」
『リコール、ね。自分は、あまり、興味ないからなぁ…』
「『…ふーん』『応援してくれないんだ』」
『応援、とはちょっと、違うけど…見守っては、いるよ、禊くんの事』
「『まぁ今はその話はいいや!』『とりあえず、これからもよろしくね!』」
『また、一緒の学校で、過ごせて、嬉しいよ』
「『そうだね!』『僕も嬉しいよ!』『息流ちゃんとのドキドキラッキースケベな学園生活を思うと胸のときめきが止まらないなぁ!』」
『あはは、禊くん、変わらないね』
話もそこそこにして
再開の挨拶を交わして
昔話に想いを馳せる
笑顔の彼は昔から変わらなくて
自分の、昔からの想いも
変わらずにいたままだった
そしてこれからもこの関係が
変わる事はないだろう
片想いのラプソディ
(『そうだ!今度の日曜日デートしよう!』『絶対だからね!』)
(2人で、お出掛けするの、久しぶり、だね。楽しみ、だよ)