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□出せぬ言葉と伝わる思い
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うん、今日もいい天気!


あの船で奴隷のような生活から一変して、私は今暖かい太陽の光を浴びながら芝生に寝そべって心地よい風を全身で感じてます。気持ちいいぜ!

あの夜から何故かナミが側にいるようになった。ナミ曰わく、男はみんな狼らしい。…何の事だかさっぱり解らないが、不寝番だったルフィと一緒に居た事が気にくわなかったようだ。ナミはルフィの事好きなんだっけ?あれ、そんな展開になってくのかな?

まぁ置いといて。次の夜から私はナミ達の部屋にお邪魔する事となり、フランキーがなんと2時間で部屋を改築した。あんまり変わってはなかったが、ベッドや一人掛けソファーなどが増えていた。ちょっと部屋が狭く感じて二人に申し訳ない気持ちになったが、二人は嫌な顔をせず笑顔で歓迎してくれた。その夜は嬉しくてなかなか眠れなかった。

その次の日は船員全員が集まって私の事で会議をした。





「まずアナタの事を教えてくれないかしら?アナタ筆談出来る?」


ロビンは私に紙とペンを渡した。そのペンはツケペンのようで、昔漫画家を目指す友達がお遊びでGペンを貸してくれた事を思い出した。書けるかな…?
私はゆっくりと日本語で「日本語が解る方は
いらっしゃいますか?」と記入した。
船員はおぉとどよめき、直後に首を傾げた。


「日本語?なんだそりゃ?知ってるかロビン」
「…残念だけど知らないわ。とりあえず私の知らない国から来た子ってのは確かね」
「でもこの子が書く文字は共通語みたいね。じゃあ***の国はどこ?」


私はナミの質問に戸惑った。正直世界が違うためどう説明すればいいか解らなかったが、先ほどのロビンの言葉を利用しようと考えた。


「えっと…小さな島国“日本”?」
「聞いたことないわね」
「どこらへんにあるんだその…日本?」
「…東?“東の海”の出身って事か?」


違うけど、まぁそんな方向であるからとりあえずかわらないと記入した。それから船員は様々な質問をしてきた。


「に…22っ!?」
「嘘…!!私より4つも年上じゃない!?」
「日本ってのは年をとらない島なのか…!?」

ケンカ売ってんのか。

「学生?学者みたいなもんか?」
「へー!お前の国じゃみんな勉強出来るのか!?すげーな!」

まぁ学歴社会だからね…息苦しい世界だけど。

「へぇ、あの船に乗ってたのは海に流されたからなのか」
「ふーん。なんで海に居たんだ?」
「…魚が
食べたくて、ってお前はどこぞの船長かっ」
「いてっなにすんだよウソップ!」

私も解らないのに答えられるか真面目に。とにかく話を逸らさなきゃ。

「ん?声の出ない理由は精神的じゃない…この首についてるチェーンのせいだ?どーゆう事だ?」
「これか?どれ…」
「どうフランキー?」
「うーん…外せねぇ事はねぇが、多分コイツもただじゃ済まねぇぜ?」
「おいそりゃどういう事だっ?」


フランキーは私の喉にまわる鉄の首輪をジックリ見て不吉な事を言った。


「どうやら鉄、海楼石の他に硬化ダイヤモンドが含まれてるみてぇだ。普通の鉄なら俺様のペンチとかヤスリで穏便に外す事は可能だが、硬化ダイヤモンドは爆薬を使わなきゃ形すら変わらねぇシロモノだ。そうなりゃどんな最小限の爆薬でもこいつのこんな細首ならまず飛ぶな」


思わず想像してしまいゴクリと喉が鳴る。つまりエルマトールからこの首輪の鍵を奪わないと私は一生声が出せないという事だ。でも、二度とあんな奴の元へは戻りたくない…


「しっかし何で海楼石まで含まれてんのかしらね」
「……」
「あれじゃないか?元々は能力者に使う為に造られた首輪なんだろ」
「それより***
が声を出すには鍵が必要って事が解ったな!」
「…アイツがカギ持ってんのかな」
「!!?」
「なにアンタ知ってんの?」
「ああ、***を連れ出す直前にデッキに顔を出してた。なんかすっげーモサモサしてたぞ!」


ルフィが上の方を向きながら腕を組んで思い出しているようだ。みんなもルフィに視線を向ける。

ダメ!!この流れはマズい!彼ならエルマトールの所に向かおうとしてしまう!

私はルフィの元へ向かい思いっ切り両肩を掴み全力で首を振った。

違う!彼は持ってない!鍵なんか持ってない!!だから行っちゃダメっ!!


「なっなんだ!?何言ってるか全然わかんねぇよっ?」


ルフィは慌てながら私の腕を掴む。私は今まで座ってた位置まで戻り走り書きで記入した紙を彼の目の前にかざした。


「んん?…カギは無くなった、海に落としたぁ?」


私はまた全力で頷き返し、彼が納得してくれる事を信じた。すると意外な所からヨコ槍が飛んできた。


「嘘だな」


ゾロが静かに私を睨んだ。
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