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□あの子と麦わら海賊団
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あの子と船医









最近の***は調子が良いみたいで俺は嬉しい。
最初に会った時は死んじゃうんじゃないかってくらい衰弱していた。表情も変わらず息をするのが精一杯な感じで、精神的ストレスがかなり酷い本当に重傷な患者だった。
身体の損傷も酷くて、全身の打撲や切り傷、左足首の足枷による擦り傷に左頬の殴られた痕。どう見ても虐待されていたようで、食事もまともな物を貰っていない事が確かだった。
***が寝ている間にみんなに説明して、***の体力が回復しても心の傷が大き過ぎて会話は不可能だと診断した。みんなは***に同情していたし、俺だって可哀想だなって思った。
でも違った。***は違ってた。少なからずあんな傷を受けた患者は感情の起伏は無く、人形のようになってしまうと本に記されているが、***はあの時赤いスカーフを手に取った瞬間泣いた。首輪によって阻まれ声が出ない叫びはよりいっそう***の赤いスカーフの男に対する悲しみが強く感じられた。それを見ている俺はその強い悲しみに引き込まれ泣きそうになった。

その後は順調に回復していき怪
我も見る見るうちに治ってきていて、目立たなくなっていった。…のに、俺がゾロのバンダナを無くした時***が手伝ってくれようとしてまた怪我をした。右腕の筋が少し延びてしまい、下手に縮まらないように毎日筋や筋肉をマッサージして暫く使わなければ治ると***に診断した。***は笑顔で多分『ありがとう』と言ってくれた。

そして更に言うと、***は治療の後、ニッコリ笑って抱き締めてくる。あれはありがとうって意味でやっているのだとナミが言っていた。だから俺はギュッとしてもらった後、どういたしましてと言う。

***は凄く弱くて、でも凄く優しい。前にいた船で虐げられていたから余計に誰よりも優しいのかもしれないし、元々***が優しい女の子なのかもしれない。
だから俺は***がまた怪我をしないように守ってあげなきゃと思う。もちろん怪我をしてしまったら直ぐに治療をしてやるんだ!

優しい***を守る為なら俺はどんな所でも側から離れないんだ!俺は立派な男のトナカイだからな!







 
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