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□魔の海とゴースト島
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カンカンカン
船内をフラフラ歩いていると硬い物で何かを叩く音が聞こえてきた。
近くにはフランキーの兵器開発室があり、彼が何かを造っているのが分かった。中へ入ろうとすると出入り口に黄色いテープと貼り紙があり、立ち入り禁止と書かれていた。入ったら怒られるかな、と思い背伸びで彼の体の向こう側にある作製物を見ようとした。
「ん?なんだお前か。そんな所で何してんだ?」
フランキーが私に気付いて近付いて来たので、私は足元の貼り紙を指した。
「ああ、ちゃんと守って入って来なかったのか…あの女もこれだけ可愛げがありゃな…」
フランキーの顔は少し痣ができていて、両方の鼻の穴にティッシュで栓をさしていた。多分これはウェイバーを改造して怒られたところなんだな、と私は思った。
「よし!後でみんなを驚かそうと思ってたが、お前だけ特別だぜ?見ろ!」
「!」
フランキーが体をずらし、現れたのはまさしくミニメリー号だった。私は感動のあまり走り出して船へ寄った。
うわー!うわー!ほっ本物のメリー号だ!…ミニサイズだけど、漫画そっくりのメリー号だ…!
じっくり船全体を見回し、ふいに触りたくなってフランキーを見た。
「あぁ、既に完成してるから触ってもいいぜ」
本当にっ!?
私は恐る恐るミニメリー号の頭に触れた。何故か暖かい感じが伝わり、その船を愛おしく思えた。別に長い付き合いもなく今初めて目の当たりにした筈なのに、懐かしさが込み上げて思わず抱き締めた。
フランキーは本当に素晴らしい船大工だという事が分かった。
「お前それが気に入ったのか?」
フランキーは私の頭をポンポンと撫でた。私は素直に頷き、フランキーに抱き付いた。
「よし!こんなに喜んでんなら最初にお前を乗せてやる!でもこの辺りの装飾が気になってきたし、もうちょいしたら乗せてやるな?」
わ!?マジで!?スリラーバーク前に乗れちゃうの!?
私は嬉しくてまたフランキーに抱き付いた。