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□ヒソヒソとナイトメア
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目の前に広がるモリア邸の奥から大きな破壊音が轟く。みんながまさに戦っている証拠だ。私は踏み込んで屋敷の門を越えた。

そこにはサンジが蹴り飛ばした塔が吹っ飛びみんなに戻ってきているところだった。1つは落下し誰にも当たらず、3つはフランキーが自慢のランチャーで打ち抜いた。1つだけロビンの方向へ向かって行く。

私はそれに左手で狙いを定め命令する。

『ストップ!!!』

塔はロビンのぎりぎり真上で止まり、私は着地と同時にモリアへ素早く狙いを移す。

『リターン!!』

「なにぃ!?」

塔の瓦礫はモリアの元へ向かうが、オーズによって打ち壊された。不意打ちのつもりだったんだけど…

「***貴女…!?」
「大丈夫でしたかロビンさん!?」
「え、ええ…それより貴女いったい…」
「ごめんなさい…後で説明します」
「なんだ今のは!?」
「ロビン無事か!!?」
「ロビンちゃーん!!」

落下した塔によって立ち込める煙が少しずつはれ、私は目の前に佇むオーズの大きさに慄いてしまう。

思っていたより大きい…でも絶対に倒せる!!

「おま…***じゃねぇか!!」
「なんだって!!?なんで***ちゃんがこんな所に!!」
「こんな所にいちゃダメだ!!逃げろ!!」

サンジやチョッパー達は私が居る事に驚き、ウソップとフランキーは次の攻撃の準備を止めて私を見ている。私はウソップを見た。

「止まらないでウソップさん!私が気を引きます!フランキーさんも急いで!!」
「な…お前声が…!!?」

声を出す私に驚くフランキーに私は微笑んだ。そりゃ初めて聞くからビックリするよね。

そしてオーズに向かって私は思いっきり息を吸い叫んだ。


「私が相手だっオォォォオオオオズッ!!!」
「なんだぁ!?」

私は驚いて見つめるだけのオーズの右側へ向かって走り出し足元の瓦礫に命令をする。

『上へ飛べ』

瓦礫は命令に従い地上の引力から逆らってオーズの頭上へ。その間瓦礫のいくつかは彼に当たる。それだけじゃないよ!

そのまま高くジャンプしてオーズの目線まで飛び上がる。私はゾロ達へ無茶振りだと思うが一応警告した。

「みなさん上手く避けて下さい!!『降り注げ!!』」
「うぎゃああ!」
見事に瓦礫がオーズに落下し、オーズはその場で膝をついた。
私は着地した後みんなの安否を伺うと、今のは誰も被害をうけなかったようで安堵した。

「よくやった***!後は俺に任せな!!」
「フランキーさん!!気をつけて!!」
「おうよ!覚悟しやがれ!!コイツは海獣・海王類相手に使う“迫撃砲”!!!風穴あけたらぁ!!くらえ!!!モリア!!!」

オーズは激しい発砲音を響かせながら向かって行くフランキーの技を軽やかにかわした。

「何て身のこなし…!!時々忘れるぜあいつがルフィだって事!!」
「…フランキーさん危ない!!」
「え…ぐあ!!!」

かわしたそのままオーズはフランキーめがけて蹴りあげた。フランキーは壁に叩きつけられ、せめてもと私は落下する地点を命令で柔らかくして衝撃をやわらげようとすると、オーズの攻撃に気付けなかった。

「フランキー!!***!!」
「うわあーっ!!フランキー!!***!!」

拳が体のスレスレに落下し、飛び散る瓦礫が私を襲う。頭を抱えて守ったが、むき出し状態の足には破片で大量に切り傷が出来た。
気分がハイになっているからか、痛みはそこまで感じなかった。

「フランキーさん!!」
「まだだオーズ!あっちはわずかに息がある。先に奴にとどめを指せ!!」
「はい」
「オイ!!まだやる気か!!」
「やめろっもう動けねぇ!!!」

モリアの命令によりオーズがフランキーめがけて足を振り上げた。みんなはフランキーを助けようと駆け寄るがきっと間に合わない。

『動くな!!』
「うぐ!!?」
「ま…またか!!?」

なんとか動きは止まったものの、そう長く持ちそうにない。早く来てナミ!!

「サンダーボルト=」
「え…あの雲は」
「テンポ!!!」
「うおっ!!?」

ナミだ!!!今のうちに!!

光煌く黒い雲が頭上に現れ、大きく割れるような稲妻を直撃し、オーズはまたも膝をついた。ナミの得意技だ。
私は急いでフランキーの元へ向かう。フランキーは血を流して仰向けに倒れていて、私がもっと早く気付けば…と後悔する気持ちが襲う。

ナミはこの後オーズに襲われるけどロビンが助けてくれるから、とにかくフランキーを移動させなきゃ!
フランキーの左側に回り込み腕を自分の肩に回し立ち上がる。彼はかなり重く、そこまで立ち上がれず引き摺るような格好になってしまった。それでも運べるならば…と思い足に力を入れると、フイにフランキーが軽くなった。
右側からウソップが肩を回して支えていた。

「***には聞きたい事が山ほどあるけど、今はとにかくフランキーを移動させるぞ!!」
「…はい!」
「のぉ〜…銃!!」

ヨタヨタと私達はみんなの所へ向かう時に、後ろから大きな腕が塔の橋を壊した。

「…いっ…急げぇ***走れ走れ!!」
「は…はい!!」

ナミが襲われてチョッパーの彼女を呼ぶ声が聞こえる。ナミはやはりロビンによって助けられていた。

「驚いたわね…大丈夫ナミ…?」
「はぁ…ありがと…お陰様で…!!」
「マズイ事が起きたぞ今…!!」
「あいつの腕が何で伸びるんだ!?ゴム人間はこの世に一人だろ!!」

慌てるみんなの元へフランキーをなんとか運び、次の技に私は左手を構え備えた。

「ゴムゴムのぉ…」
「モリアだ…何かしやがったな!!」
「みなさん来ます!!」
「鞭ィ!!!」

飛んでくるオーズの足を私は命令で逸らし、オーズは大きく転倒した。また飛んでくる瓦礫から私はフランキーを背中で庇う。

来る痛みが無く、振り向いてみるとサンジが私の前に立ち守ってくれた。

「力があっても無茶ばかりするのはいただけないぜ?お姫様」
「ありがとうございますサンジさん!」
「***!今のうちにフランキーを!!」
「はい!」
「思い出したぞ!!」

オーズはモリアの声に動きが止まり、一同はモリアの続きの言葉を待った。

「貴様、ヒソヒソの実を食っただろう!!」
「!!?」
「聞いた事があるぞ…確か、その能力は万物のものに命令出来る『殺戮兵器』と恐れられているとな!」
「さ…殺戮兵器…!!?」
「***が…!?」
「キシシシシ!!まさかその能力者がこんな所にいようとはなぁ!是非とも貴様の影、欲しいなぁ」
「…っ…」










“もっと痛めつけろ!”




“他に酷ぇ命令とか出来ねぇのかよっ!!”




“血反吐を吐かせろやぁ!”











“ほら…命令しろ。……『化け物兵器』”










そうだ、奴らはいつも私を『化け物兵器』と呼んでいた。
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