main

□鼓動と下心
2ページ/6ページ

次の日はナミが昨日言っていた通りに雨が降った。一日中雨が降ってたから俺やみんなはダイニングに集まってそれぞれで遊んでた。ちなみに俺はウソップとチョッパーで似顔絵描きをしてる。
ゾロは寝てるし、サンジとフランキー、***とナミとロビンで喋ってる。***は声が出ないから紙に文字を書いてるけど。

俺が真剣にウソップの鼻を描いてる時だ。
外でゴロゴロッて音がして、ナミやロビンの笑い声が止まった。なんでも今夜は大荒れで、雷が夜明けまで鳴り続けるかもだから寝れねぇかもしんねぇらしい。まあ俺は別に寝ちまうと思うから気にしてねぇ。でも、ナミやチョッパー達はビビッて起きてそうだな。あと***も。チラッと***を見てみるとケロッとした顔でナミの話を聞いてた。あれ?



「アンタ雷は平気なの?」
「〈前の船で大嵐に遭遇した事がある〉?あら、それじゃかなり気分悪かったんじゃない?」
「〈船酔いで吐きそうになった〉だぁ?だっはっはっは!」
「こんないたいけなレディーの気分を害するような旅しかできねぇなんて…とんだクソ航海士だな!我らの唯一無二である麗しい美航海士とは比べる価値もねぇ!」
「あらありがとサンジ君。紅茶おかわり」
「サラリと流すそんな君も素敵だぁああ!!」



外が大雨でもみんなはいつもと同じで、俺は嬉しくなった。また絵に集中しようとお絵かき帳を見ると、目がチカッってなるくらいに眩しくなった。と同時に、爆発みたいな大きな雷が落っこちた。そりゃこう、ドガッシャ−ンみたいな音。ゾロだって飛び起きちまったぞ。



「か…かなり近くなかったか?」
「おいおいおい、どっか壊れたりしてねぇだろうな…っ?」
「ああ?俺様の造った船がこんな雷如きで壊れるわきゃねぇだろ!!」
「でも当たったらやべぇんじゃねぇのか?」
「まあ…マストに直撃しちまったら多少やべぇだろうな」
「多少どころじゃねぇだろ!!」
「不用意に外へ出て直撃でもしたら焼死するかもしれないわね」
「「ぎゃああああああっ!!!」」
「止めてよそういう事言うの!部屋に戻れなくなるじゃない!!」



なんだか楽しそうな雰囲気になってきて俺はワクワクした。きっと***も同じ気持ちだと思って顔を覗くと、さっきまでの笑顔が嘘みたいに真っ青な顔色の無表情で床を見ていた。



「***?顔色悪ぃぞ?」
「!!?」
「どうした!?また体調悪いのかっ?」



チョッパーがいち早く傍に来て***を見上げたけど、***は首を振るだけだった。そしたらまたピカッて眩しくなってデッケェ雷の音がした。その音よりも俺はきゃーって知らねぇ奴の声が大きく聞こえた気がして、下を見ると***が小っさくなってプルプル震えてた。



「もう部屋に戻れないじゃない!!こうなったら今晩はみんなでダイニングにいるわよ!!そうと決まったら男共は部屋から必要物を持ってきて!!毛布とランプと着替えとタオルとブラシと化粧水と…」
「「「「多いわっ!!!」」」」
「みんなで雑魚寝?面白そうね」
「じゃあ俺はもしもに備えて工具もってくらぁ」
「なら俺達は毛布とか取ってくる」
「俺はランプ取ってくるぞ!」
「おいルフィ行くぞ」



ウソップの所へ行こうとしたら、***が下から俺の服を引っ張った。***は眉毛が下がって泣きそうな?困ったような?顔をしてた。うーん…



「…ナミ」
「何よ?」
「俺達が戻るまで***とくっついてろ」
「はあ?」
「こいつ雷怖ぇみたいだからな。チョッパー!」
「何だ…うおっ!?」



俺は***をナミに渡してチョッパーを持たせた。チョッパーはあったけぇからな!安心すんだろ!



「俺が代わりにランプ取って来るからチョッパーはこいつらといてくれ」
「…!分かった!俺ナミ達を守るよ!」
「あら頼もしいわ。ね?」
「…しっかり守ってもらうわよチョッパー!」
「おう!任せろ!」
「***は俺の帽子守ってくれな?」



俺の帽子を受け取った***はそれを大事に抱きしめた。ちょっとだけ***の緊張が無くなったみてぇだし、ランプ取ってくっか!

俺は勢いよくドアから出ると、外はシャワー浴びてるみてぇに土砂降りだった。うっひょーっ!!すんげぇ楽しい!甲板なんかもうプールみてぇじゃんか!

芝生の上でジャンプして遊んでたらマストにいるゾロに怒られた。お前だって遊んでんじゃんかと言えば、ゾロは帆の縄を縛り直してるんだと。ちぇ。

俺は展望台目掛けて手を伸ばした。昨日ウソップが見張りで持ってってそのまま忘れたっつってた。



「えーとランプランプ…あった!」



双眼鏡近くのベンチに置いてあったランプを持ったと同時にまた雷が鳴った。今の雷は船のすぐ傍に落ちたみたいで船が大きく揺れた。そしたらまたあの女の声が聞こえた。なんとなく***が怖くて叫んでるみてぇで、俺は急いでダイニングに向かった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ