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□ゾンビとドクトル
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私は馬車に乗り込むと、全力疾走したためか目蓋が重くなった。オイオイそれはないだろ私。とは思ってもはしゃいでるチョッパーを見ても眠気は飛ばない。


「大丈夫?着いたら起こしてあげるから休みなさい」


ナミは私の疲労を察して肩へ頭を乗せさせて優しく撫でてくれた。そこまでされると睡魔には勝てず、私は素直に目を瞑った。












***…






***……





名を呼ぶ優しい声に意識を向けると、『彼』の悲しい瞳が私をとらえていた。どうしてそんな顔をしているのか分からず首を傾げると、『彼』は名を呼ぶ声と同じように優しく私の体を包んでくれる。




何があっても




何が起こっても






俺はお前の無事を願うからな







だから













生きろ、***









「***っ!!」


バチッと目を開けると、ナミが焦っているような表情で私を起こしていた。私は状況を理解するべく周りを見渡そうとしたと同時に馬車が大きく傾いた。


「ギャーー!!」
「馬車が倒れる!」


馬車から逃げ出す時間も与えられず
私達は共に横転した。その拍子に馬車から飛び出た私達は地面に叩きつけられた。顔を上げるとウソップが悲鳴をあげて噛まれたと叫んでいる。でもこのゾンビ達は噛んできても痛いだけの筈だ。
私は冷静に思いながらもウソップを助ける為に駆け出そうとしたが、何かに両足を抑えつけられ動けなかった。抑えつけるゾンビは私と目が合うと、腐った目を細め剥き出しの歯を私に見せつけた。ゾクリと背筋が寒くなり、息が苦しくなる。その隙に右腕にもゾンビが群がり、身動きが取れない。


「やだ助けて!!噛まれるー!!」
「ナミ!!」


ゾンビ達からナミへ視線を逸らすと、ナミに大量のゾンビが群がっていた。ナミが悲鳴を上げてもがいているのが面白いのか、ゾンビ達は更にナミへ向かう。
急いでナミの元へ向かおうとすると、私の手足に絡みつくゾンビが抑えつけてくる。頭に血が登った私は自由な左手でホイッスルを掴み、ダイヤルをグルリと大きく回し思いっ切り息を吸い込んだ。

邪魔だバカッ!!

と力一杯にホイッスルを吹く。間近で聞いたゾンビ達は泡を吹いてパタリと倒れた。私はゾンビの下から這い出てナミの元へ走った。ナミに絡むゾンビは既にウソップによって離れていて、ナミ
は私を見ると抱き締めてきた。ナミを立たせようとすると、腰が抜けたのか私にしがみつくばかりだった。そんなナミと私をチョッパーはまとめて抱え、ウソップと共に走り出した。


「猛ダッシュすりゃ追いつきゃしねェ!!ゾンビってのはノロノロ呻きながら歩く事しかできねェんだ…」
「待てクラー!!!」
「速っ!!!」


ウソップによるゾンビ豆知識は役に立たずもの凄いスピードで追ってくるゾンビ達だが、一叫び後にゾンビ達は膝を着いて息を整えていた。


「体力なっ!!!」



その後、チャンスとばかりに私達は走った。するとやはり向かう場所は一つ、ホグバックの屋敷である。
屋敷の前に着いた私達は門で声をかけた。でも誰の声も姿も現れる事無く、私達は屋敷の中へ進む事にした。
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